MASTER(5)                                                            MASTER(5)

名前
       master - Postfix master プロセス設定ファイルフォーマット

解説
       Postfixメールシステムはユーザによって呼び出される少数の (ほとんどは) ク
       ライアントコマンドと、バックグラウンドで走る多数のサービスによって実 装
       されています。

       Postfix サー ビ ス はデーモンプロセスによって実装されています。これらは
       master(8) プロセスの制御下でバックグラウンドで走ります。master.cf 設 定
       ファ イルはクライアントプログラムがサービスに接続する方法や、サービスが
       要求された際に走るデーモンプログラムを定義します。ほとんどのデーモン プ
       ロ セスは短期間だけ生存し、max_use 個のクライアントにサービスを提供する
       か、 max_idle かそれ以上の単位時間アクティブにならなければ終了します。

       ここで指定されるすべてのデーモンはPostfix内部プロトコルを話さなければい
       け ま せ ん。 非Postfix ソ フ ト ウェ ア を 実 行 するには、local(8)pipe(8)spawn(8) サービスを使うか、inetd(8) もしくは同等なものの管理下
       でサーバを動かします。

       master.cf  を変更したら、設定を再読み込みするために "postfix reload" を
       実行しなければいけません。

文法
       master.cf ファイルの一般的な書式は以下の通りです:

       o      それぞれの論理行は1つのPostfixサービスを定義します。それぞ れ の
              サービスは名前と以下に記述される種類によって区別されます。複数の
              行で同じサービス名と種類を指定すると、最後のものだけが記憶されま
              す。それ以外は、master.cf サービスの定義順序は関係ありません。

       o      空 行と空白のみの行は無視され、最初の非空白文字が `#' の行も同様
              です。

       o      論理行は非空白文字で始まります。空白で始まる行は論理行を継続しま
              す。

       それぞれの論理行は空白で区切られた8つのフィールドで構成されます。これら
       は master.cf ファイルに現れる順に、以下で説明されます。

       適用可能な場所では、"-" というフィールドはビルトインデフォルト値を使 う
       こ とを要求します。ブーリアンフィールドには、デフォルト値を上書きするに
       は "y" または "n" を指定します。

       サービス名
              サービス名の文法は次で説明されるサービスの種類に依存します。

       サービス種類
              以下のサービス種類の内一つを指定します:

              inet   サービスはTCP/IPソケットで listen し、ネットワーク越し に
                     アクセスすることができます。

                     サービス名は host:port のように指定され、これは新しい接続
                     を受け入れるホストとポートを示します。ホスト部分 (とコ ロ
                     ン)  は省略できます。ホストやポートはシンボル形式 (ホスト
                     またはサービス名) でも数値形式 (IPアドレスやポート 番 号)
                     で 与えられます。ホスト情報は "[]" の中に括ることもできま
                     すが、この形式は必須ではありません。

                     例: 127.0.0.1:smtp または ::1:smtp という名前のサービスは
                     ルー プバックインターフェースからのメールのみを受け取りま
                     す;  そして 10025 という名前のサービスは  inet_interfaces
                     パ ラ メータで設定されたすべてのインターフェースのTCPポー
                     ト10025で接続を受けます。

                     注意: Postfixバージョン2.2以降では master.cf  や  main.cf
                     でループバック IPアドレス情報をハードコーディングするので
                     はなく、main.cf で "inet_interfaces = loopback-only" を指
                     定してください。

              unix   UNIX ドメインソケットで listen するサービスで、ローカルク
                     ライアントのみがアクセスできます。

                     サービス名はPostfixキューディレクトリからの相 対 パ ス 名
                     (main.cf  の queue_directory 設定パラメータで制御されるパ
                     ス名) です。

                     Solarisシステムでは unix タイプはストリームソケットで実装
                     されています。

              fifo   FIFO  (名前付きパイプ) で listen するサービスで、ローカル
                     クライアントのみがアクセスできます。

                     サービス名はPostfixキューディレクトリからの相 対 パ ス 名
                     (main.cf  の queue_directory 設定パラメータで制御されるパ
                     ス名) です。

       Private (デフォルト: y)
              メールシステムへのアクセスを制限するかどうか。インターネット (タ
              イプ inet サービスは private にできません。

       Unprivileged (デフォルト: y)
              サー ビスがroot権限で走るかPostfixシステムの所有者として走るか (
              所有者名は main.cf ファイルの mail_owner 設定変数で制御 さ れ ま
              す)。

              local(8) および pipe(8)spawn(8)virtual(8) デーモンは特権を必
              要とします。

       Chroot (デフォルト: y)
              サービスをメールキューディレクトリ (パス名は main.cf ファイル の
              queue_directory 設定変数で制御されます) にchrootして走らせるかど
              うか。

              chrootは local(8)pipe(8)spawn(8)virtual(8) デーモンで使
              う べきではありません。 proxymap(8) サーバはchrootして走らせるこ
              とはできますが、そうするとこのサービスを使うそもそもの目的のほと
              んどが無意味になってしまいます。

              Postfixソースコードアーカイブの examples/chroot-setup サブディレ
              クトリのファイルには、マシンの種類ごとにPostfixのchroot 環 境 を
              セッ ト アッ プする方法が記述されています。また BASIC_CONFIGURA-
              TION_README ではデーモンをchrootして走らせることの問題についての
              議論があります。

       Wake up time (デフォルト: 0)
	      指定された秒数が経過したら、指定されたサービスが自動的に起動され
              ます。起動はサービスに接続して起動要求を送ることで実装して い ま
              す。 起動時間フィールドの最後に ? を付けると、起動イベントは実際
              に使われているサービスのみに送られるようになります。0を指定す る
              と、自動的には起動しません。

              pickup(8)  および qmgr(8)flush(8) デーモンは起動タイマーを必要
              とします。

       Process limit (デフォルト: $default_process_limit)
              このサービスを同時に実行できるプロセスの最大数。0を指定すると プ
              ロセス数制限がなくなります。

              注 意: Postfixサービスの中にはシングルプロセスサービスとして設定
              しなければいけないものがあり (例えば qmgr(8))、またプロセス数 を
              無 制 限 に し な け れ ば な ら な いサービスもあります (例えば
              cleanup(8))。これらの制限は変更してはいけません。

       Command name + arguments
              実行されるコマンド。">" や "|" のようなシェルにとって特別な文 字
              はここでは特別な意味を持たず、また空白を含む引数を保護するのに引
              用符を使うことはできません。

              コマンド名はPostfixデーモンディレクトリからの相対パスです (パ ス
              名は daemon_directory 設定変数によって制御されます)。

              特定のコマンドに対するコマンド引数の文法はそれぞれのデーモンのマ
              ニュアルページに明記されています。

              以下のコマンドラインオプションはすべてのデーモンプログラムに対し
              て同じ効果があります:

              -D     main.cf  設定ファイルの debugger_command 変数で指定された
                     コマンドの制御下でデーモンを動かします。ヒン ト やtips は
                     DEBUG_README を参照してください。

              -o name=value
                     指定された main.cf 設定パラメータを上書きします。パラメー
                     タの値は main.cf の中と同様に、$name などとして他の パ ラ
                     メータを参照することができます。文法は postconf(5) を参照
                     してください。

                     注意1: "=" の前後に空白を置いてはいけません。パラメータ値
                     で は、 空 白を完全に避けるか、空白の代わりにカンマを使う
                     か、main.cf で設定された $override_parameter を使って "-o
                     name=$override_parameter"  のように上書きすることを考えて
                     ください。

                     注意2: パラメータの上書きを使いすぎると、Postfixの設定 を
                     理 解 し たり管理するのが難しくなってしまいます。ある時点
                     で、 master.cfで複数の個性を設定するよりも、複数のPostfix
                     インスタンスを設定する方が簡単になるでしょう。

              -v     冗長ログレベルを増加させます。-v オプションを複数設定する
                     と、 Postfixデーモンプロセスは冗長性を増します。

関連項目
       master(8), プロセスマネージャ
       postconf(5), 設定パラメータ

READMEファイル
       BASIC_CONFIGURATION_README, 基本的な設定
       DEBUG_README, Postfixデバッグ

LICENSE
       The Secure Mailer licenseはこのソフトウェアと一緒に配布されなければいけ
       ません。

作者
       初期バージョンは以下によります:
       Magnus Baeck
       Lund Institute of Technology
       Sweden

       Wietse Venema
       IBM T.J. Watson Research
       P.O. Box 704
       Yorktown Heights, NY 10598, USA

                                                                     MASTER(5)