MASTER(8)                                                            MASTER(8)



名前
       master - Postfix マスタープロセス

書式
       master [-Ddtv] [-c config_dir] [-e exit_time]

解説
       master(8) デーモンは要求に応じてPostfixデーモンを走らせる常駐プロセスで
       す: ネットワークを通してメッセージを送受信するデーモンやメールをロー カ
       ル に配送するデーモンなどがあります。これらのデーモンは要求に応じてサー
       ビスごとに決められた設定可能な最大数を上限に作られます。

       Postfix デーモンは、何もせずに設定可能な時間が経過したり、設定可能な 数
       の要求にサービスを提供すると、自発的に終了します。常駐 Postfix キューマ
       ネージャやアドレス検証サーバ、TLSセッションキャッシュ、擬似乱数サーバは
       この規則の例外です。

       master(8)   デーモンのふるまいは master(5) に記述されているように、mas-
       ter.cf 設定ファイルで制御されます。

       オプション:

       -c config_dir
              デフォルトの設定ディレクトリの代わりに、指定されたディレクトリの
              main.cfmaster.cf 設定ファイルを読みます。これは他のPostfix
              デーモンプロセス用の設定ファイルも上書きします。

       -D     初期化後、マスタープロセスにデバッガを走らせます。デバッグコマン
              ドは main.cf グローバル設定ファイルの debugger_command で指定 し
              ます。

       -d     stdin や stdout、stderr を /dev/null にリダイレクトしたり、制 御
              端末を破棄しません。これはデバッグのためだけに使わなければいけま
              せん。

       -e exit_time
              exit_time 秒後に master プロセスを終わらせます。子プロセスは都合
              のよい時に終わります。

       -t      テストモード。master.pid ロックファイルが存在しないときや、ロッ
              クされていないときは、終了状態はゼロを返します。これは master(8)
              デーモンが走っていないことの証拠です。

       -v     デバッグ目的の冗長ログモードを使います。このオプションは子プロセ
              スに渡されます。複数 -v オプションを指定すると、ソフトウェアは冗
              長度を増します。

       シグナル:

       SIGHUP HUP シグナルを受けとると (例えば "postfix reload" の後) マスター
              プロセスはその設定ファイルを再び読み込みます。サービ ス が  mas-
              ter.cf  ファイルから削除されていると、動いているプロセスはすぐに
              終了します。それ以外は動いているプロセスは都合が良いときに終了す
              ることが許されるため、設定の変更は新しいサービス要求にのみ効果を
              及ぼします。

       SIGTERM
              TERM シグナルを受けとると (例えば "postfix abort" の後) マスター
              プロセスはそのシグナルを子プロセスに渡し、終了させます。これは緊
              急シャットダウン時に便利です。通常はマスターのみを終了し ("post-
              fix  stop") 、プロセスは実行していることが終わるまで動くことが許
              されます。

診断
       問題は syslogd(8) に通知されます。

環境変数
       MAIL_DEBUG
              初期化後、main.cf 設定ファイルの debugger_command 設定パラメータ
              で指定されたデバッガを起動します。

       MAIL_CONFIG
              Postfix 設定ファイルのディレクトリ。

設定パラメータ
       ほとんどの Postfix デーモンプロセスとは違い、master(8) サーバは main.cf
       への変更を自動的には取得しません。master.cf への変更は自動的には拾わ れ
       ません。設定の変更後は "postfix reload" コマンドを使ってください。

リソースおよび速度の制御
       default_process_limit (100)
              指定されたサービスを提供する Postfix 子プロセスの、デフォルト の
              最大数。

       max_idle (100s)
              Postfix デーモンプロセスが終了するまでに次のサービス要求を待つ最
              大時間。

       max_use (100)
              Postfix デーモンプロセスが終了するまでの接続要求の最大数。

       service_throttle_time (60s)
              異常に見えるサーバをフォークするまでに Postfix master(8) が待 つ
              時間。

その他の制御
       config_directory ('postconf -d' の出力を参照)
              Postfix  main.cf および master.cf 設定ファイルのデフォルトの場所
              。

       daemon_directory ('postconf -d' の出力を参照)
              Postfix サポートプログラムおよびデーモンプログラムがあるディレク
              トリ。

       debugger_command (empty)
              Postfix デーモンプログラムが -D オプション付きで呼ばれたときに実
              行される外部コマンド。

       inet_interfaces (all)
              このメールシステムがメールを受け取るネットワークインターフェース
              アドレス。

       inet_protocols (ipv4)
              Postfixがコネクションを生成したり受けたりする際に使おうとする イ
              ンターネットプロトコル。

       import_environment ('postconf -d' の出力を参照)
              Postfix  プロセスが非 Postfix 親プロセスから受け取る環境変数パラ
              メータのリスト。

       mail_owner (postfix)
              Postfix キューおよびほとんどの Postfix デーモンプロセスを所有 す
              る UNIX システムアカウント。

       process_id (read-only)
              Postfix コマンドまたはデーモンプロセスのプロセスID。

       process_name (read-only)
              Postfix コマンドまたはデーモンプロセスのプロセス名。

       queue_directory ('postconf -d' の出力を参照)
              Postfix トップレベルキューディレクトリの場所。

       syslog_facility (mail)
              Postfix ロギングの syslog facility 名。

       syslog_name (postfix)
              例 えば "smtpd" が "postfix/smtpd" となるようにするために syslog
              レコードのプロセス名の前に付けられるメールシステムの名前。

ファイル
       /etc/postfix/main.cf, グローバル設定ファイル
       /etc/postfix/master.cf, master サーバ設定ファイル
       /var/spool/postfix/pid/master.pid, master ロックファイル

関連項目
       qmgr(8), キューマネージャ
       verify(8), アドレス検証
       master(5), master.cf 設定ファイルの文法
       postconf(5), main.cf 設定パラメータの文法
       syslogd(8), システムロギング

ライセンス
       The Secure Mailer license はこのソフトウェアと一緒に配布されなければ い
       けません。

作者
       Wietse Venema
       IBM T.J. Watson Research
       P.O. Box 704
       Yorktown Heights, NY 10598, USA



                                                                     MASTER(8)