CLEANUP(8) CLEANUP(8)
名前
cleanup - Postfix メッセージのカノニカル化およびキューの発行
書式
cleanup [generic Postfix daemon options]
解説
cleanup(8) デーモンは入ってきたメールを処理し、incoming メールキューに
入れて、キューマネージャに到着したことを知らせます。
cleanup(8) デーモンは常に次の変換を行ないます:
o 見つからないメッセージヘッダの挿入: (Resent-) From:, To:, Mes-
sage-Id:, および Date:。
o エ ンベロープやヘッダアドレスを、他の Postfix プログラムが求める
標準的な user@fully-qualified-domain 形式に変換します。この作 業
は trivial-rewrite(8) デーモンに委託されます。
o 重複するエンベロープ受信者アドレスの削除。
次のアドレス変換はオプションです:
o オ プションで、全てのエンベロープとヘッダアドレスを canonical(5)
検索テーブルで指定されたマッピングにしたがって書き換えます。
o オプションで、送信者のエンベロープアドレスとヘッダアドレスをマス
カレードします(つまり、masquerade_domains パラメータに挙げられた
全てのドメイン以下のホストやドメイン情報を 、 masquerade_excep-
tions に記載されたユーザ名を除いて削ります)。デフォルトでは、ア
ドレスマスカレードはエンベロープの受信者には影響を及ぼしません。
o オ プションで、virtual(5) 検索テーブルで見つかった情報にしたがっ
てエンベロープの受信者アドレスを展開します。
cleanup(8) デーモンはそれぞれのメッセージに問題がないかチェックします。
問 題が見つかると、デフォルトではクライアントに診断ステータスが返され、
問題をクライアントが取り扱うようにします。または問題が起こったらクラ イ
ア ントが cleanup(8) デーモンに、メッセージを送信者にバウンスするように
要求できます。
標準
RFC 822 (ARPA インターネットテキストメッセージ)
RFC 2045 (MIME: インターネットメッセージ本体の書式)
RFC 2046 (MIME: メディアタイプ)
診断
問題や処理はsyslogd(8) に記録されます。
バグ
テーブルによる書き換えルールは if then else やその他の論理関係の表現 が
難しくなります。
設定パラメータ
cleanup(8) プロセスは限られた短時間しか動かないため、main.cf への変更は
自動的に拾われます。この変更を早くしたければ "postfix reload" コマン ド
を使ってください。
以 下 の 文 章 はパラメータの概要のみを提供します。例を含む詳細は post-
conf(5) を参照してください。
互換性の制御
undisclosed_recipients_header (To: undisclosed-recipients:;)
メッセージに To: または Cc: メッセージヘッダがない場合に Postfix
cleanup(8) サーバが挿入するメッセージヘッダ。
Postfixバージョン2.1でのみ使えます:
enable_errors_to (no)
エ ンベロープ送信者アドレスの代わりに、非標準的な Error-To: メッ
セージヘッダで指定されたアドレスにメール配送エラーを報告します (
こ の機能は Postfix 2.2で取り除かれ、Postfix 2.1ではデフォルトで
無効になっており、より古いバージョンのPostfixでは常に有効に なっ
ています)。
ビルトインコンテンツフィルタの制御
Postfix ビルトインコンテンツフィルタはワームやウィルスからのメールの氾
濫を止めることを意図しています。汎用的なコンテンツフィルタではありま せ
ん。
body_checks (empty)
body_checks(5) マニュアルページに書かれているようなコンテンツ検
査をおこなう、オプションの検索テーブル。
header_checks (empty)
header_checks(5) マニュアルページに書かれているような、 非 MIME
な最初のメッセージヘッダのコンテンツ検査をおこなう、オプションの
検索テーブル。
Postfix バージョン 2.0 以降で使えます:
body_checks_size_limit (51200)
$body_checks 検査を受けるメッセージ本体セグメント(もしくは添付、
この単語の方がよければ) のテキストの量。
mime_header_checks ($header_checks)
header_checks(5) マニュアルページに書かれているような、MIME に関
連したメッセージヘッダのコンテンツ検査をおこなう、オプションの検
索テーブル。
nested_header_checks ($header_checks)
header_checks(5) マニュアルページに書かれているような、添付され
たメッセージの非 MIME メッセージヘッダのコンテンツ検査をおこなう
、オプションの検索テーブル。
MIME 処理の制御
Postfix バージョン 2.0 以降で使えます:
disable_mime_input_processing (no)
メール受信中の MIME 処理を無効にします。
mime_boundary_length_limit (2048)
MIME マルチパート境界文字列の最大の長さ。
mime_nesting_limit (100)
MIME 処理で扱う最大の再帰レベル。
strict_8bitmime (no)
strict_7bit_headers と strict_8bitmime_body の両者を有効にします
。
strict_7bit_headers (no)
メッセージヘッダに 8 ビットテキストを持つメールを拒否します。
strict_8bitmime_body (no)
8 ビット MIME コンテンツエンコード情報のない 8 ビットメッセー ジ
本体テキストを拒否します。
strict_mime_encoding_domain (no)
message/* または multipart/* MIME コンテンツタイプに対して無効な
Content-Transfer-Encoding: 情報を持つメールを拒否します。
自動 BCC 受信者の制御
メールがメールシステムに入ってきた際に、Postfix は自動的に BCC (blind
carbon copy) を加えることができます:
always_bcc (empty)
Postfix メ ールシステムが受け取ったメッセージそれぞれの "blind
carbon copy" を受け取る、オプションのアドレス。
Postfix バージョン 2.1 以降で使えます:
sender_bcc_maps (empty)
送信者アドレスでインデックス化された、オプション の BCC (blind
carbon-copy) アドレス検索テーブル。
recipient_bcc_maps (empty)
受 信 者 アドレスでインデックス化された、オプションの BCC (blind
carbon-copy) アドレス検索テーブル。
アドレス変換の制御
アドレス書き換えは trivial-rewrite(8) デーモ ン に 委 任 さ れ ま す 。
cleanup(8) サーバはテーブル駆動によるアドレスマッピングを実装しています
。
empty_address_recipient (MAILER-DAEMON)
null アドレス宛のメールの受信者。
canonical_maps (empty)
メッセージヘッダおよびエンベロープに対する、オプションのアドレス
マッピング検索テーブル。
recipient_canonical_maps (empty)
エンベロープおよびヘッダ受信者アドレスに対する、オプションのアド
レスマッピング検索テーブル。
sender_canonical_maps (empty)
エンベロープおよびヘッダ送信者アドレスに対する、オプションのアド
レスマッピング検索テーブル。
masquerade_classes (envelope_sender, header_sender, header_recipient)
アドレスマスカレードを受けるアドレスの種類。
masquerade_domains (empty)
E メールアドレスのサブドメイン構造が削られるドメインの、オプショ
ンのリスト。
masquerade_exceptions (empty)
$masquerade_domains にマッチしてもアドレスマスカレードを受けない
ユーザ名の、オプションのリスト。
propagate_unmatched_extensions (canonical, virtual)
検索キーから検索結果へと拡張アドレスをコピーするアドレス検索テー
ブル。
Postfixバージョン2.0以前で使えます:
virtual_maps (empty)
a) 全てのアドレスが他のローカルもしくはリモートドメインのアド レ
ス にエイリアスされるドメイン名と、b) 他のローカルもしくはリモー
トドメインのアドレスにエイリアスされるアドレスを持つ、オプション
の検索テーブル。
Postfixバージョン2.0以降で使えます:
virtual_alias_maps ($virtual_maps)
特定のメールアドレスやドメインを他のローカルまたはリモートアドレ
スにエイリアスする、オプションの検索テーブル。
Postfixバージョン2.2以降で使えます:
canonical_classes (envelope_sender, envelope_recipient,
header_sender, header_recipient)
canonical_maps アドレスマッピングを受けるアドレス。
recipient_canonical_classes (envelope_recipient,
header_recipient)
recipient_canonical_maps アドレスマッピングを受けるアドレス。
sender_canonical_classes (envelope_sender, header_sender)
sender_canonical_maps アドレスマッピングを受けるアドレス。
remote_header_rewrite_domain (empty)
このパラメータが空の場合はリモートクライアントからのメッ セー ジ
ヘッダを一切書き換えません; それ以外の場合、メッセージヘッダを書
き換えて、不完全なアドレスに指定されたドメイン名を付けます。
リソースおよび速度の制御
duplicate_filter_limit (1000)
aliases(5) または virtual(5) エイリアスの展開や showq(8) キュー
の表示に対して、アドレス複製フィルタが記憶するアドレスの最大数。
header_size_limit (102400)
メッセージヘッダを格納するメモリの、バイト単位の最大量。
hopcount_limit (50)
最初のメッセージヘッダで許される Received: メッセージヘッダの 最
大数。
in_flow_delay (1s)
メッセージ到着速度がメッセージ配送速度を超えた場合に、新しいメッ
セージを受ける前に一時停止する時間。
message_size_limit (10240000)
エンベロープ情報を含めた、メッセージのバイト単位の最大サイズ。
Postfix バージョン 2.0 以降で使えます:
header_address_token_limit (10240)
アドレスメッセージヘッダ内で許されるアドレストークンの最大数。
mime_boundary_length_limit (2048)
MIME マルチパート境界文字列の最大の長さ。
mime_nesting_limit (100)
MIME 処理で扱う最大の再帰レベル。
queue_file_attribute_count_limit (100)
Postfix キューファイルに格納される (name=value) 属性の最大数。
Postfix バージョン 2.1 以降で使えます:
virtual_alias_expansion_limit (1000)
それぞれの元の受信者から virtual エイリアス展開で生成されるア ド
レスの最大数。
virtual_alias_recursion_limit (1000)
virtual エイリアス展開の最大のネストの深さ。
その他の制御
config_directory ('postconf -d' の出力を参照)
Postfix main.cf および master.cf 設定ファイルのデフォルトの場所
。
daemon_timeout (18000s)
ビルトイン監視タイマーによって終了するまでの、Postfix デーモンプ
ロセスが要求を扱うことができる時間。
delay_warning_time (0h)
依然としてキューに入っているメールのメッセージヘッダを送信者が受
け取るまでの時間。
ipc_timeout (3600s)
内部通信チャネルを使った情報の送受信の時間制限。
max_idle (100s)
Postfix デーモンプロセスが終了するまでに次のサービス要求を待つ最
大時間。
max_use (100)
Postfix デーモンプロセスが終了するまでの接続要求の最大数。
myhostname ('postconf -d' の出力を参照)
このメールシステムのインターネットホスト名。
myorigin ($myhostname)
ドメイン名で、ローカルで投函されたメールはそこから来たよう に 見
え、またローカルで投かんされたメールはそこに配送されます。
process_id (read-only)
Postfix コマンドまたはデーモンプロセスのプロセス ID。
process_name (read-only)
Postfix コマンドまたはデーモンプロセスのプロセス名。
queue_directory ('postconf -d' の出力を参照)
Postfix トップレベルキューディレクトリの場所。
soft_bounce (no)
送信者に返されてしまうメールをキューにとどめておくための安全ネッ
ト。
syslog_facility (mail)
Postfix ロギングの syslog facility 名。
syslog_name (postfix)
例えば "smtpd" が "postfix/smtpd" となるようにするために syslog
レコードのプロセス名の前に付けられるメールシステムの名前。
Postfix バージョン 2.1 以降で使えます:
enable_original_recipient (yes)
X-Original-To メッセージヘッダのサポートを有効にします。
ファイル
/etc/postfix/canonical*, カノニカルマッピングテーブル
/etc/postfix/virtual*, virtual マッピングテーブル
関連項目
trivial-rewrite(8), アドレス書き換え
qmgr(8), キューマネージャ
header_checks(5), メッセージヘッダコンテンツ検査
body_checks(5), 本体部分のコンテンツ検査
canonical(5), カノニカルアドレス検索テーブルの書式
virtual(5), virtual エイリアス検索テーブルの書式
postconf(5), 設定パラメータ
master(5), 一般的なデーモンオプション
master(8), プロセスマネージャ
syslogd(8), システムロギング
README ファイル
ADDRESS_REWRITING_README Postfix アドレス操作
ライセンス
The Secure Mailer license はこのソフトウェアと一緒に配布されなければ い
けません。
作者
Wietse Venema
IBM T.J. Watson Research
P.O. Box 704
Yorktown Heights, NY 10598, USA
CLEANUP(8)