MYSQL_TABLE(5) MYSQL_TABLE(5)
名前
mysql_table - Postfix MySQL クライアントの設定
書式
postmap -q "string" mysql:/etc/postfix/filename
postmap -q - mysql:/etc/postfix/filename <inputfile
解説
Postfix メールシステムはオプションでアドレス書き換えやメールルーティン
グのテーブルを使用します。これらのテーブルは通常 dbm または db フォーマ
ットです。
それ以外に、検索テーブルとして MySQL データベースを指定することもできま
す。MySQL 検索を使うには、main.cf の検索テーブルとして MySQL ソースを定
義します。例:
alias_maps = mysql:/etc/mysql-aliases.cf
/etc/postfix/mysql-aliases.cf ファイルは Postfix main.cf ファイルと同じ
書式であり、以下に示すようなパラメータを指定することができます。
後方互換性
他の Postfix 検索テーブルとの互換性のため、MySQL パラメータ も main.cf
で 定義することができます。そうするためには、MySQL ソースとしてスラッシ
ュやドットで始まらない名前を指定してください。そうすることで MySQL パラ
メ ータはソースに定義した名前、アンダースコア、パラメータ名という形で使
えるようになります。例えば、マップが "mysql:mysqlname" として指定された
場合、下の "hosts" パラメータは main.cf では "mysqlname_hosts" として定
義されます。
注意: この形式では、MySQL ソースのパスワードは、通常 world-readable な
main.cf に書かれてしまいます。この形式のサポートは Postfix の将来のバー
ジョンで削られる予定です。
Postfix 2.2はMySQLおよびPostgreSQLに対するクエリインターフェースを拡 張
し、 以前はPostfix LDAPクライアントでのみ使えていた機能を含むようになり
ました。新しいインターフェースでは、SQLクエリは単一の query パラメー タ
で 指 定 されます (より詳細は以下に記述されています)。新しい query パラ
メータがマップ定義で指定されていない場合は、Postfixは select_field や
table、 where_field、additional_conditions から構成される SQLクエリを使
う、古いインターフェースに戻ります。古いインターフェースは徐々に廃止 さ
れ る予定です。新しいインターフェースに移行するには、次のように設定しま
す:
query = SELECT [select_field]
FROM [table]
WHERE [where_field] = '%s'
[additional_conditions]
それぞれの古いパラメータの名前ではなく、値を挟んで く だ さ い。 addi-
tional_conditions パラメータはオプションで、空でなければ常に AND で始め
ることに注意してください。
リストメンバーシップ
$mynetworks や $mydestination、$relay_domains、$local_recipient_maps 等
のようなリストを格納するために SQL を使う場合、テーブルはそれぞれのリス
トメンバーを別々のキーで格納しなければいけないことを理解することが重 要
です。この議論は DATABASE_README ドキュメントの "Postfix リスト対テーブ
ル" を参照してください。
$mydestination や $relay_domains 等でドメインの完全なリストを返し た り
$mynetworks で IP アドレスを返すテーブルを作っては「いけません」。
キ ーとしてマッチするそれぞれの項目と属性値を持つテーブルを作って「くだ
さい」。SQL データベースでは、キー自身や定数を返すのは珍しいことでは あ
りません。
MYSQL パラメータ
hosts Postfix が検索するために接続しようとするホスト。UNIX ドメインソ
ケットは unix: を指定し、TCP 接続(デフォルト)は inet: を指定しま
す。例:
hosts = host1.some.domain host2.some.domain
hosts = unix:/file/name
hosts は任意の順序で試され、全ての UNIX ドメインソケットを通した
接続は TCP を通した接続の前に試されます。約1分のアイドル後に接続
は自動的に閉じられ、必要なときに再び開かれます。Postfix バージョ
ン 2.0 以前ではホストの順序を無作為には選びませんでした。
「注意」: (たとえ前に inet: が付いていたとしても) ホスト名として
localhost を指定すると、MySQL はデフォルトの UNIX ドメインソケッ
トに接続します。MySQL をローカルホストに TCP で接続させるには 、
次のように指定する必要があります:
hosts = 127.0.0.1
user, password
mysql サーバにログインするためのユーザ名とパスワード。例:
user = someone
password = some_password
dbname サーバ上のデータベース名。例:
dbname = customer_database
query データベースを検索するのに使われるSQLクエリテンプレート。ここで
%s はPostfixが解決しようとしているアドレスの代替です。例えば、
query = SELECT replacement FROM aliases WHERE mailbox = '%s'
このパラメータは以下の '%' 展開をサポートしています:
%% これは文字としての '%' 文字で置き換えられます。
%s これは入力キーで置き換えられます。入力キーが予期しないメ
タキーを加えないことを保証するために、 SQL引用符を使い ま
す。
%u 入力キーが user@domain の形のアドレスの場合、%u はアドレ
スのSQL引用符付きのローカル部分で置き換えられます。それ以
外の場合は、%u は検索文字列全体で置き換えられます。ローカ
ル部分が空の場合、検索は差し止められて結果を返しません。
%d 入力キーが user@domain の形のアドレスの場合、%d はアド レ
スのSQL引用符付きのドメイン部分で置き換えられます。それ以
外の場合は、検索は差し止められて結果を返しません。
%[SUD] queryパラメータでは、上の文字を大文字にしたものは小文 字
の 場合と同じように振る舞います。result_format パラメータ
(以下参照) で使うと、結果の値ではなく入力キーに展開されま
す。
%[1-9] パターン %1, %2, ... %9 は入力キーのドメインの対応する構
成要素の最も重要な順に置き換えら れ ま す。 入 力 キー が
user@mail.example.com の場合、%1 は com、%2 は example で
%3 は mail です。入力キーが完全修飾でなかったり指定された
パ ター ン すべてを満たすのに十分なドメイン要素がない場合
は、検索は差し止められて結果を返しません。
以下に記述されている domain パラメータはアドレスの入力キーをマッ
チ したドメインに制限します。domain パラメータが空でなければ、完
全修飾ではないアドレスやドメインにマッチしないアドレスの SQLクエ
リは差し止められて結果を返しません。
こ のパラメータはPostfix 2.2で使えます。以前のリリースでは、 SQL
クエリは別々のパラメータから構築されます: select_field や ta-
ble、where_field、additional_conditions。古いパラメータから等価
なクエリへのマッピングは:
SELECT [select_field]
FROM [table]
WHERE [where_field] = '%s'
[additional_conditions]
WHERE 文の '%s' はエスケープされた検索文字列に展開 さ れ ま す。
Postfix 2.2では、これらの古いパラメータは query パラメータが指定
されていないときに使われます。
注意: クエリパラメータの前後に引用符を付けてはいけません。
result_format (デフォルト: %s)
結果の属性に適用される書式のテンプレート。文字列を後置する (また
は 前 置 する)のにもっともよく使われます。このパラメータは以下の
'%' 拡張をサポートします:
%% これは文字としての '%' 文字で置き換えられます。
%s これは結果の属性値によって置き換えられます。結果が空の 場
合はスキップされます。
%u 結果の属性値が user@domain 形式のアドレスの場合は、%u は
アドレスのローカル部分によって置き換えられます。 結 果 の
ローカル部分が空の場合はスキップされます。
%d 結果の属性値が user@domain 形式のアドレスの場合は、%d は
属性値のドメイン部分によって置き換えられます。属性値が 修
飾されていない場合はスキップされます。
%[SUD1-9]
大 文字と10進の数値の展開は結果ではなく入力キーを書き換え
ます。これらの振る舞いは query の記述と同じですが、実際に
は 入力キーは前もってわかっているため、結果テンプレートで
指定されたすべての情報を含まないキーの検索は省略されて 結
果を返しません。
例 え ば、"result_format = smtp:[%s]" を使うと、mailHost 属性を
transport(5) テーブルの基礎として使えるようにな り ま す。 結 果
フォーマットを適用すると、複数の属性値はカンマで区切られた文字列
として連結されます。以下で説明される expansion_limit お よ び
size_limit パラメータは結果の値の数を制限できます。これは1つの値
を返すべきであるマップに特に便利です。
デフォルト値の %s はそれぞれの属性値がそのまま使われることを指定
します。
このパラメータはPostfix 2.2以降で使えます。
注意: 結果フォーマットの周りに引用符を置いては「いけません」。
domain (デフォルト: ドメインリストなし)
これはドメイン名のリスト、ファイルのパス、ディレクトリです。指定
されていると、*空でない*ローカル部分とマッチするドメインを持つ完
全 修飾された検索キーのみが検索対象になります: 'user' 検索や裸の
ドメイン検索、"@domain" 検索はおこなわれません。これは MySQLサー
バでの検索負荷を劇的に削減します。
domain = postfix.org, hash:/etc/postfix/searchdomains
SQL検索の対象とするドメインを保存するのにSQLを使わないようにする
のが最もよいです。
このパラメータはPostfix 2.2以降で使えます。
注意: local(8) エイリアスの入力キーは常に修飾されていないた め、
このパラメータを定義しては「いけません」。
expansion_limit (デフォルト: 0)
マップに対する検索で (カンマ区切りのリストとして) 返される結果要
素の総数の制限。ゼロを設定すると制限を無効にします。制限を超える
と 一時エラーで検索が失敗します。制限を1にすると、検索が複数の値
を返さないことが保証されます。
以下のパラメータは次の書式の SELECT のテンプレートを埋めるのに使えます:
SELECT [select_field]
FROM [table]
WHERE [where_field] = '%s'
[additional_conditions]
指 定子 %s は検索文字列で置き換えられます。また、パースエラーを起こした
り、さらにはセキュリティ問題を起こしたりしないように、シングルクオー ト
や他の変な文字はエスケープされます。
Postfix 2.2ではこのインターフェースは廃止され、上で説明したような、より
一般的な query インターフェースで置き換えられました。 query パラメー タ
が 定義されていると、以前のパラメータは無視されます。古いインターフェー
スは将来のリリースで削除されるかもしれないので、新しいインターフェー ス
に移行してください。
select_field
SQL "select" パラメータ。例:
select_field = forw_addr
table SQL "select .. from" テーブル名。例:
table = mxaliases
where_field
SQL "select .. where" パラメータ。例:
where_field = alias
additional_conditions
SQL クエリに対する追加条件。例:
additional_conditions = and status = 'paid'
関連項目
postmap(1), Postfix 検索テーブルの維持管理
postconf(5), 設定パラメータ
ldap_table(5), LDAP 検索テーブル
pgsql_table(5), PostgreSQL 検索テーブル
README ファイル
DATABASE_README, Postfix 検索テーブルの概要
MYSQL_README, Postfix MYSQL クライアントガイド
ライセンス
The Secure Mailer license はこのソフトウェアと一緒に配布されなければい
けません。
歴史
MySQL サポートは Postfix バージョン 1.0 で導入されました。
作者
オリジナルの実装:
Scott Cotton, Joshua Marcus
IC Group, Inc.
更なる拡張:
Liviu Daia
Institute of Mathematics of the Romanian Academy
P.O. BOX 1-764
RO-014700 Bucharest, ROMANIA
MYSQL_TABLE(5)